誠実な住民意識

世間の出来事について、住民がどう感じているかの記事です。

ふるさと納税の判決

 泉佐野市がふるさと納税の不指定の取り消しを求めていた件で、最高裁の判決が6月中にも出るそうです。

 ふるさと納税の制度は平成20年度に制定されました。夕張市に次ぐ財政状態の苦しい泉佐野市は、いち早く寄付金への返礼品を導入し寄付金を募りました。当時、税制改正を担当していた私は、ふるさと納税の制度と、返礼品の是非について、当時の市長や議会に説明した経験があります。

 当時は、寄付者の持ち出しは5千円でした。その5千円を補填する意味で5千円相当の返礼品を提供したことが始まりです。まさにふるさと納税の返礼品は、泉佐野市がパイオニアなのです。

 しかし、この制度は住民税の根幹を揺るがす制度です。おそらく、政治家の要望に官僚が仕方なく導入した制度だと想定されます。しかし、平成27年度にふるさと納税を拡充する税制改正が行われました。そして、ご承知のような返礼品競争となっていきました。

 実は、平成26年度には、返礼品競争は始まっていました。にもかかわらず、総務省は平成27年度にその策を講じず、おそらく政治家の要請に従って制度の拡充のみ実施したのです。

 平成29年度になって、総務省は「返礼品は3割以下」という通知を出します。しかし、この時期には既に、多くの地域事業者は返礼品事業のために資本投下していました。

 あまり議論されませんが、ふるさと納税の制度は、当初の制度の目的にはない、「地域事業者の育成」という観点からは素晴らしい効果を発揮したのです。

 総務省はそういうことは知らない?若しくは知っていても公表しません。しかし、自治体では地域事業者のために急に返礼品の発注を止めることはできないのです。

 問題となった返礼品競争は、もとはといえば、平成27年度のふるさと納税制度の改正に返礼品について規定しなかった、政府の不作為が発端です。にもかかわらず、総務省の「技術的助言」に従わなかったからといって、総務省は、泉佐野市をふるさと納税の対象団体からから除外しました。

 泉佐野市がとった、返礼品にギフト券を使用するといった方法は、法に触れないからといっても適切な方法ではなかったように思います。しかし、これまでの経緯を最高裁が正しく認識していれば、泉佐野市の主張が認められるのではないかと私は思います。